俺・君塚君彦が地上一万メートルの上空でシエスタと出会い、流浪の旅に出てから一年あまり。
まともに学校にも通えず『最終学歴:小卒』になる寸前の俺に、シエスタは飛び級で中学卒業資格を得られるという特殊な学院への編入を提案する。
世界各地からエリート候補生が集まるその学院で、シエスタと共に久しぶりの学校生活を謳歌しよう。
そんな俺の思惑は入学ガイダンスで即座に打ち砕かれた。
中卒資格を得るためには十日間の学院生活のうちに、前回の定期試験で発生したとある事件の真相を究明する必要があるらしく……?
「それで君は一人、放課後の告白イベントを楽しんでいたと」
「お前だってクラスの男子と遊んでたんじゃないのか?」
上昇志向と派閥争いの入り乱れる教室で、探偵と助手の束の間の学院生活の幕が上がる――。
これは名探偵が生きていた頃の物語――二人が紡いだ目も眩むような三年間の、非日常の一幕。