俺・君塚君彦が地上一万メートルの上空でシエスタと出会い、流浪の旅に出てから二年あまり。
「たまには羽を休めたいな……」
「じゃあ温泉旅行にでも行こうか」
ある日シエスタが提案してきたのは、慰安目的の社員旅行。
散々世界中を連れ回されたが、ついに、ようやく、本当に、待ちに待った休暇の時が来たようだ。
久々に日本へ帰国した俺たちは温泉地の高級旅館に泊まり、畳の上で茶を飲み、浴衣に着替えて、温泉卓球で火花を散らし――やがて人の手首が落ちている事件現場と遭遇した。
名探偵いるところに湯けむり殺人事件あり。
久しぶりにのんびりした時間を過ごせるかと思ったのだが、結局俺たちは調査に協力することになり、これが『普通ではない事件』だと判明してしまい……?
これは名探偵が生きていた頃の物語――二人が紡いだ目も眩むような三年間の、非日常の一幕。
「今回はご褒美回です」
「ご、ご褒美回……」